
平成18年度 法人税の改正点 その1
【1】特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度
特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度
特殊支配同族会社の業務主催役員(実質オーナー)に支給する給与の額のうち、給与所得控除に相当する部分は、法人税の計算上損金に算入されません。
ただし、以下の場合にはこの規定は適用されません。
a.基準所得金額が年800万円以下の場合
b.基準所得金額が年800万円超3,000万円以下であり、かつ、その基準所得金額のうち業務主催役員の給与額の占める割合が50%以下の場合
なお、基準所得金額が年3,000万円以上の場合には無条件に適用されます。
特殊支配同族会社とは?
オーナー及びその同族関係者等が株式等の90%以上を保有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占めている同族会社
基準所得金額とは?
その事業年度の前3年間の事業年度の所得金額と業務主催役員給与の合計額の平均値
(なお、上記の説明は概要を理解しやすいように細かい規定を省いて説明しています。より詳しい情報については当事務所
までお問い合わせ下さい。)
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この改正は18年度の他の改正に比べ、審議の土壇場になってやや強引に盛り込まれたものです。
この改正をわかりやすく言うと、
「規模の小さな同族会社は、言ってみれば個人事業主さんと同じでしょ?だったら会社からお給料もらって給与所得控除を税金計算上受けられるのは、直接事業所得に税金を課せられる個人事業主と比較して不公平じゃないですか。だから小さな同族会社の場合はオーナー社長さんの給与所得控除相当額を法人税計算上控除出来なくしちゃいましょう!」
と言ったところでしょうか。
この改正について疑問を感じます。
所得税と法人税の混同
個人事業主は法人組織という形態を取らずに営業が行われ、そこから獲得された所得のすべては事業主の所得税の対象となります。法人と比較して、事業の開始、廃止等の手続が簡便で、生活者としての一面と事業者としての一面が混同されている可能性があるので取引相手からの信頼性も法人と比較して一歩引けを取ります。
法人とは出資者が出資した資本金をベースとして、事業を行うためだけに造られる組織です。そして法律により出資者や経営者とは完全に別個の人格を与えられており、そこから得られる所得は法人税の対象となります。
法人を設立するには一定の手続と資本の出資が不可欠であり、また設立後も証拠書類の保存に担保された一定の質を持つ決算申告書類の提出が義務づけられています。そういった事情から取引先や金融機関からの信頼性も個人事業主より一般的には高いと考えられています。
18年度の会社法改正により、資本金の概念自体が無くなり、法人の設立が格段に容易になりました。今後は以前よりも信頼性が乏しい小規模法人も増加することでしょう。今回の役員給与損金不算入は上記のような安易な法人設立に歯止めを掛ける意味も込められていると考えられます。
しかし、考えなくてはいけないのは、法人と個人は全く別人格であるのに、今回の改正では課税側が一定の小規模同族会社についてはそれを同一のものとみなし、所得税の規定を法人税計算上の規定に持ち込んでいることです。
元来、給与所得控除とは、会社からお給料をもらって生活をする者に対し、事業所得者の必要経費などに相当するものとして所得から控除される一定の金額を法律によって定めたものです。ですから、法人がその利益を得るために支出した費用とはまったく別個のものであります。
同族会社のオーナーと言えども法人から給与をもらって生活をしている以上、他の給与所得者と同様の法体系に基づいて課税が為されるべき事は当然として、オーナー役員にその業務の対価として給与を支払っている会社側からすると、当然の対価として払っている給与の一部が経費から除外されるのは、同族会社でない会社と比較して不公平であると考えられます。
とは言え、一旦決まってしまった法律は改正が入ったり廃止になるまでは、当然有効です。また改正法の増税を逃れるべく何らかの行動を合理的な理由無く取ることは租税回避行為として受け取られ、税務調査で否認される可能性も少なくないことでしょう。今回改正を良い方に受け止めるとこう言えると思います。
「会社を育てましょう!」
オーナー給与の倍以上の利益を会社が生み出せば良いのです。
出資者に対して剰余金を適正に配当すれば良いのです。
会社をより良い方向に進めるために同族関係者でない方を役員に抜擢すれば良いのです(全役員の半分以上の割合で)。
会社の基盤強化や労働意欲の向上の一環として取引先や労働者の方に株式を保有してもらえば良いのです(全株式の10%超)。
こうやって考えると何か良い法律に思えてきませんか!?
補足:租税回避は出来ませんが、その影響を和らげる手法はそれぞれの法人の実体によりいくつか考えられます。その一部を次回更新時にアップする予定です。(平成18年8月2日 記載)
平成18年度 法人税の改正点 その2
少額飲食費の損金不算入制度
支出額が1人当たり5000円以下の飲食費用は、一定の書類を保存している場合に限り交際費等から除外されます。
(適用上の注意点)
法人の役員、従業員またはこれらの親族のみに支出した飲食費については該当になりません。
下記の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
1、その飲食等があった年月日
2、その飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
3、その飲食等に参加した者の数
4、その費用の金額並びにその飲食店、料理店等の名称及びその所在地
5、その他参考となるべき事項
所長のコメント![]()
この改正は1人につき5,000円以下の接待飲食費について通常税務で言うところの「交際費」の枠から除外してその全額を法人税計算上の経費として認めようという制度です。ご存じのとおりいわゆる大会社(資本金1億円超の法人)については元来、交際費の経費計上自体が認められていなかったので、今回の改正により少額の飲食接待費については経費とされることから、大会社により有利な税法改正であるといえるでしょう。しかし中小企業についても今までは交際費の1割相当額は加算処理になっていたところが全額損金でOKになったという部分では改正の恩恵も少なからず享受出来ることになります。